○○年間生きてきて、まさかこの私がスポーツ選手のサイン会に並ぶことになろうとは、一体、誰が予想できただろう？ 98年1月31日、横浜岡田屋モアーズで城彰二サイン会＆トークショー。 自分でも信じられないが、うちの相方はもっと戸惑っている様子。タレントやアイドルの類を冷めた目で見ていた私達にとっては対極にある行為だもの。「サイン会に並ぶなんてかっこ悪い」と悩みつつも、結局私の価値観は「城彰二に会いたい！」という心の底から湧き上がる欲求には勝てなかった。

その日は城ファンの友人と待ち合わせて早朝6時半に到着したものの、すでに徹夜組含めた300人以上の 人間がデパートの建物を取り囲んでいた。予想を遥かに越えていた。W杯最終予選で人気急上昇の城彰二を甘く見ていた自分が情けない・・・。 サイン会の整理券は手に入らなかったが、ともかく立見席で入場できることになった。 客層を見ると95％以上は女性だった。 会場となった屋上のイベントスペースは600人ほどでぎゅうぎゅうに埋まり身動きすら取れない。 目の前に現れた生身の城彰二はすらりと背が高く、少し長めの髪で、黒いシャツと黒の皮パンツを着ていた。試合中の鋭い顔つきとも、ＴＶでの可愛らしい 仕草とも違って、本当にかっこいい（*^^*）。 城が視線を投げるだけで、会場は黄色い悲鳴に包まれた。 始めは緊張していた城だったが、だんだんと調子を上げてきてトークショーも盛り上がり、 いよいよサイン会。サイン会の整理券を持っている人だけが、城の前に進み出て握手をしてサインを受け取ることができる。 その光景を眺めていたら、不意に涙が・・・。始発電車に乗ってウキウキしながら「城に会ったら何て言おうか」と 考えていたことを思い出し、遣る瀬無い気分になってしまった。
こんなに近くにいるのに、手の届かない遠い存在・・・。
結局自分はその他多勢の一ファンなんだなぁ、と、当たり前のことを実感したイベントだった。

イベントの後は、いつも書き込みしている掲示板の人々（合計8人）と初めてのオフ会があった。 僭越ながら、成り行きで私が幹事をやることになっていたのだが、 土曜の昼だったのでどこの店も事前予約を取れず、なかなか座れる店がなくて右往左往してしまった。みんな朝から立ちっぱなしだったし、中には前日の夜から並んでいた人もいたため、「どうしよう！！皆を退屈させちゃうよ〜！！」と焦ったものの、どうにかレストランに入れたのでホッとした。 初めて会う人ばかりなのに、掲示板で馴染みがあるせいか初対面の気がしなかった。互いに持って来た雑誌や本を見せ合いながら直接城の話をできるのが楽しくてしょうがない。食事の後は日産ギャラリーの中にあるマリノスショップ（ウィスポート）へ行き、置いてある雑誌を見たり、城へのメッセージを書き残し、記念撮影をしたり。それから、横浜駅地下のスポーツ洋品店店頭へ、当時掲示板を見ていた城ファンの間で有名だった「等身大城彰二」を見物に行った。今思えば、通行人の視線も気にせずただの立て看板と記念撮影していた私・・・かなり変だぞ（笑）。実物を間近で見られなかったために落ち込んでいた私には、それだけでも気が紛れた。

そして横浜駅コンコースで皆とお別れ。 実は内心、ウェブマスターさんが参加できなかったこともあって盛りあがるか不安だったし、最初の失敗で「幹事失格だぁ・・・」と気にしていたのだが、皆から「今日は楽しかった」と言ってもらえたので心底嬉しかった。この時のメンバーが核となって観戦仲間が増えたのだから、あの時思いきって『オフ会やりませんか？』と提案してみて本当に良かった。