ラモスとカズがいるヴェルディ戦は、城ファンにとって因縁の対決。カズのW杯代表落ちに対する非難の矛先が城に向けられ、カズファンと城ファンの間で感情的な軋轢があったし、クロアチア戦後のラモスの無責任なコメントが想像を超えるバッシングの引き金になったから。個人的にカズは好きだったけれど、ラモスだけは絶対に許せない！見返すには、城くん自身がゴールを挙げるしかないけれど、ファンなりに、ラモスに対するリベンジの方法を考えた…。ラモスがボールを持ったらずーっとブーイングをする！試合前、ファンの間でそんな空気が流れていて、私も頭に血が上っていたから、率先してやろうと心に決めていた。ただ、マリノスサポーターの中には中立的な人もいたから、そういう人たちを巻き込むつもりはなかった。城自身は、サポーターがそんなことしたからといって喜ぶわけじゃないと思う。でも、ブーイングするのがたとえ自分一人だけだとしても、自己満足だとしても、そうでもしなければ傷ついたファンは遣りきれなかった。

会場は敵地である等々力競技場だったけれど、マリノスサポーターだけでも１万人は集まっていた。異様な興奮状態で今か今かと待っていた両チームの選手入場。とたんに起ったブーイングの大合唱！なんとマリノスサポーターのほとんどがブーイングしているじゃないか。あちこちでラモスを批判する台詞を叫んでいる人がいたり、「何様のつもりだ！ラモス」なんて横断幕まで現れた。驚いた。マリノスサポーターも、チームのエースを貶されたことに憤慨していたんだ。意外なところで生まれた連帯感。もう大勢を味方に付けた気になって、この２ヶ月間の溜まりに溜まったウップンをおなかの底から出し切って、声を枯らして叫んだ。
よぼよぼラモスなんて黙らせてやる！

ところが、ヴェルディが先にゴールを挙げてしまった。この試合だけは絶対に負けられない、意地でも負けられない。逆転を信じて祈り、声援を送った。マリノスの同点ゴールに喜んだのもつかの間、再び逆転、また同点…。そんな試合展開のおかげで寿命が１０年縮まった気がする。３−２で逆転、そしてついに城がだめ押しの４点目を決めた。勝った！結果は城１ゴール１アシストで４−２！
試合後、ラモスはにこやかに城に話しかけていて、その様子を見ただけでもむかついたけど、今思えば、相当余裕がなかったんだなぁ自分（苦笑）。カズと城はユニフォーム交換してがっちり握手していた。選手同士というのは大人なのだ。

ファンにとっても、この試合でW杯の苦い思いを一つ乗り越えたと思う。気持ちを新たに、次の目標に向かって応援しなければ。