監督：アンドリュー・ラウ
主演：レオン・ライ、マギー・チャン、エリック・コット、リチャード・ン、ヴァレリー・チョウ
日本でも２０００年の年末に公開。主演の二人は名作『ラブソング』と同じ顔合わせだ。期待と不安がよぎる。しっかし「ひとめ惚れ」って、ベタな題名だなぁ…。
●あらすじ●
サンフランシスコでタクシードライバーをするエレン（マギー）は１０歳の息子スコットと暮らすシングルマザー。ある夜、親友ティナに誘われて出かけたバーでマイク（レオン）と出会い、胸をときめかす。マイクは気鋭のプログラマーで、従兄のボブ（エリック）とソフト会社を経営している。意気投合した二人は、エレンのタクシーの中で関係を持つ。
エレンはマイクにのめり込んでいくが、気ままな一人暮らしを楽しむマイクと何かと反発してしまう。やがてマイクもエレンに対する自分の気持ちに気づき、二人はスコットの理解を得て同棲生活を始める。しかし、会社が経営難に陥って余裕のないマイクと、エレンの間の溝は拡がる一方だった。その頃、商談相手の女社長バージニア（ヴァレリー）からホテルに呼び出されたマイクは、資金援助をちらつかせて迫るバージニアの誘惑に負け、関係を持ってしまう。翌朝、タクシーの中でマイクと寝たことを携帯でおしゃべりするバージニアの話を、運転席で聞いてしまったエレンは…。
サンフランシスコで繰り広げられる、バツイチ子持ち女性と、独身プログラマーの紆余曲折する恋愛模様。
●レオンのツボ●
第一印象は「お肌、疲れてます？」。レオンは仕事と恋愛の両立に悩む等身大の３３歳を演じている。バツイチ女性ならではのY談なんかもあったりして、３０代向けの映画みたい。酔っぱらってるマイクが、アメリカ人女性の膝の上に座ったり、キスしたり（@＿@）、強引にエレンに迫ったり、今まで見た映画の中では一番プレイボーイぶりを発揮（いや〜ん）！！しかし、シスコには夜中泊まれるホテルってないの？何もタクシーの中でヤらなくても…。今回は男にも迫られて、おしりまで撫でられてる！あと、バージニアに誘惑されて困る顔が可愛いぃ。女に弄ばれるレオンもまた良いわー。やっぱりレオンはキスシーンが素敵。でも、「寝てみたけど、好みと違ったわ」だとぉ！？バージニアの台詞は激怒もの。ちなみにバージニア役は『恋する惑星』でトニー・レオンを振ったすっちー役の女優だと知ってびっくり。あの時は全然印象に残らなかったけど、この高飛車な美人の役はいい感じだった。
●映画のツボ●
監督・撮影のアンドリュー・ラウは、『新・欲望の街』や『風雲ストームライダース』の監督として名前が売れている。青を基調としたサンフランシスコの夜のシーンは印象的で、カップル向けの映画らしい綺麗な映像だった。ただ、ところどころポップなミュージックビデオのような映像が挿入されているが、洒落た感じに見せるための小手先の技法みたいであまり感心しない。
全編通して、金門橋（ゴールデンゲートブリッジ）、チャイナタウン、ケーブルカーを始め、街の風景が差し挟まれ、中には殆ど意味のないカットも多いし、さらにはゲイのカップルとか、シリコンバレーを意識したソフトウェアの会社とか、ホームレスとか、リゾート地サウサリート（エレン憧れの土地。映画の英題「Sausalito」はここから来ている）とか、地震とか、思いつく限りのシスコ名物が盛りだくさん！まるで名所案内を兼ねた２時間ドラマみたい（笑）。欲張りすぎだっつーの。子供のスコットが物わかりが良すぎだし、マイクは何の迷いもなくスコットの存在をすんなり受け入れてるし、エレンはエレンで息子を親友に預けてマイクと同棲しちゃうし、子供の存在感がなさすぎ。マイクは商談の席で、あまりにも子供っぽい非常識な態度とっちゃうし、マイクの仮想国家構想も新鮮なアイディアじゃないし、そりゃ資金繰りも苦労するはず。マイクの仕事ぶりには現実味がないのだ。バラの花一輪を持った人々がエレンを追っかける場面はギャグ？家も会社もエレンも失って一から出直したマイクが、再起してエレンとやり直そうってところなんだから、普通の演出でいいのに…。アメリカ・オールロケだし、アンドリュー・ラウのカメラも洗練されているから、一見アメリカ映画みたいな印象なんだけど、サービス精神の旺盛な中身はやっぱり香港映画。プロデューサーが、コテコテ娯楽映画のヒットメーカー、ウォン・チン（バリー・ウォン/王晶）だと知れば、何となく納得。
エンディングにはNG集もあった。やっぱりレオンの笑顔可愛い〜。