監督：バリー・ウォン（王晶／ウォン・チン）
主演：レオン・ライ（黎明）、カリーナ・ラウ（劉嘉玲）、スー・チー（舒淇）、リー・アン（李鞍）
木村拓哉と松たか子主演でヒットしたフジテレビの月９ドラマ「ラブ・ジェネレーション」をベースにしたという恋愛ドラマ。元のドラマを見ていないので役柄とかストーリーとか比較しようがないけど、レオンは数人の女の間で揺れ動く色男の役。レオンの親友マーク・ルイとの掛け合いが楽しい。日本ロケも多くて、この当時からファンだったらレオンの長期滞在はきっと嬉しかっただろうなぁ。
←右からサニー役のマーク、レオン、ムーン役のリー・アン
●あらすじ●
ビル・ケイ（レオン）は向上心が強く成功を夢見るサラリーマン。その恋人マギーはしがない化粧品販売員で、セクハラ上司に反抗したためクビになり、甲斐性なしの父親は金の無心をし、恋人は仕事に夢中、イライラがつのるばかり。ある夜、ビルに連れられ回転寿司へ行くが、雨の中、行列に並んで長時間待たされるうちにケンカになってしまう。先の見えた人生を変えたいという思いにかられたマギーは「このまま一緒にいても互いのためにならない」と別れ話を切り出す。
傷心のビルは親友サニーを訪ね励まされると、可能性を求めてアメリカ行きを決意。サニーの妹ムーンは次学期からアメリカへ留学、サニーも歯科医を目指しており、三人は互いの成功を誓い合った。
←地味な証券マン。こんな人、いそう！
それから６年後、成功したビルは企業のトップにまで登り詰め、ムーンはビルの秘書となっていた。日本に出張したビルは秘書ムーンの他に、交際中の人気女優ジョーイも同伴して日本滞在を楽しんでいたが、一度は決裂した交渉相手・加世大周がジョーイ目当てに再度の交渉を求めてきたことをきっかけに二人は口げんかになる。
←ビジネスマンとして成功したビル。クールな顔して妄想の中身はおマヌケ。
取り残されたビルが一人で街を歩いていると、偶然にもショッピングで日本に来ていたマギーと再会、たまたまタンクトップ姿だったビルのことを、マギーは彼が無職で貧しい暮らしをしていると勘違いする。マギーのおごりで食事や散歩を楽しんだ後、ビルはマギーが２週間後に黒社会出身の袁和平と結婚を控えていることを知る。ジョーイのわがままに疲れていたビルはマギーへの思いが再燃、ジョーイを日本に残してムーンと共に香港へと戻った。
←渋谷の路上でマギーと再会したビル。
マギーの紹介で和平と知り合ったビルは、あの手この手でマギーを取り戻そうとするが、二人で思い出の回転寿司に立ち寄った時、実はビルがその回転寿司グループを買い取った新オーナーであり企業家として成功したことを知って、マギーは自分を試すように事実を隠していたビルに「あなたは変わってしまった」と憤る。それでもビルは諦めず、和平と話し合いの場を持つことに。男二人は夜のドライブへ出掛けると、車の運転を誤って大けがを負ってしまう。マギーが病院を離れた直後、動転したジョーイが駆けつけ真剣な思いをビルにぶつけるが、ビルの気持ちは完全に離れており、一方マギーもビルに対する恋愛感情がくすぶり続けていたため気持ちは揺らいでいた。サニーの家を訪ねたマギーはムーンの思いつきで隠れてビルを驚かそうとするが、後からジョーイが現れたため、出るに出られなくなる。ジョーイは関係修復を願って自分の非を詫びるが、もみ合っている拍子にビルが大切にしていたクリスタルのリンゴを壊してしまう。それは６年前にマギーから受け取った思い出の品だった。ジョーイが追い返されると、隠れていたマギーが出てきてビルと互いの気持ちを確認しあい、やり直すことに。
マギーが別れを告げるため和平の元へ行くと、そこには警察の姿があった。３年前の殺人事件の容疑者として和平が疑われていたのだ。身の潔白を証明するにしても長い時間が掛かるのは間違いなく、和平はマギーをトラブルに巻き込むのを恐れ婚約解消を申し出る。しかし和平には自分が必要だと感じたマギーは彼の側にいることを決意する。
ビルもジョーイに別れを切り出すつもりだったが、変わらぬ思いを訴えるジョーイを前にハッキリと言えなくなってしまう。そしてビルは突然マギーから「和平には私が必要。二日後、彼と結婚する」と告げられ焦る。と同時に、ジョーイから「別れるなら自分の指を切り落として送りつける」と脅迫めいた電話を受け、必死にジョーイの居場所を探そうとするが見つからないまま朝を迎える。そこへジョーイが来て、昨夜は酔っぱらっていた上、台本の台詞をしゃべっただけだったことを詫びた。そして誰かを追いかけるより追いかけられるのが好きなジョーイは加世大周の求愛を受け入れ日本へ行く決意を固めたことを打ち明けた。
円満にジョーイと別れたビルはその足でマギーの結婚を阻止するために会場へ急行したが、そこでは和平が姿を隠して「ビルと幸せに」とマギー宛に手紙を残していたことを知る。隠れていた和平を見付けると、ビルは二人の結婚を後押しすることで自分は潔く身を引いた。
その時、ムーンがアメリカに向かったことを知らせにサニーが駆けつけた。ムーンが本当に好きだったのはビルで、ビルがマギーと幸せになれば自分の役目は終わったと、「アメリカで黒人と結婚する」と言い残して旅立ったというのだ。何故引き留めなかったのかと逆上しサニーを殴るビルに、マギーは「あなたが本当に必要としているのはムーン」と説き、その時初めてビルはムーンという存在の大きさに気が付く。空港へと急いだビルはムーンに「君が必要なんだ」と告白した。
●レオンのつぼ●
地味な平社員から会社社長へと出世するホワイトカラー役のレオン。スーツ姿が多く出てきてカッコイイ。体格が良いからスーツの着こなしも様になるってもんよね♪
でも、渋谷丸井前の交差点を下着のようなタンクトップ姿でウロウロするシーンは…（涙）。そりゃ知名度低い日本だからこそ可能なんだけど、こんな演出じゃなくってもいいじゃない！多分ゲリラロケだろうから、何も知らない日本人たちが天下のレオン・ライ様に「何こいつ？」って感じの眼差しで通り過ぎていくなんて見るに耐えない！
←レオンの映画にはマクドナルドマークの登場回数が多いみたい？（笑）
その他、日本の温泉に入ったり、屋台のラーメン食べたり、旅館の浴衣姿があったり、妄想の中でサッカー・ブラジル代表のロナウドに扮したりとサービス満点。スマートで金持ちで優しくて言うことなしの役なんだけど、あまりにもステレオタイプな「モテる男」すぎてキャラクターとしてはあまり印象に残らないかも…。
←何かと噂のスー・チーと…。心中穏やかではいられない人も多いはず。
●映画のつぼ●
日本のトレンディードラマをパロった娯楽恋愛映画。途中から、仕事そっちのけで元彼女と寄りを戻すためにあの手この手を尽くす話に変わってしまうなんて、軽薄で安易な恋愛映画そのものだなぁ。その上、最後には唐突にムーンとくっついちゃうなんて、それじゃあ物語のほとんどを費やしたマギーとの復縁ネタは何だったんだ！？
サニーの家は、飛行機がビル群を掠めるように離着陸することで有名だった啓徳空港のすぐ脇に建つビルの屋上で、かつての恋人を忘れられないビルの心境と、香港啓徳空港の閉鎖という出来事が重ね合わされていて、その部分には感動したのに。。。最終的には新しい恋の始まりと新空港のオープンとを結びつけていたので、そこまで考えての脚本なんだろうけど。
どこかで見たことあるような展開ばかりで、ハッキリ言って新鮮味は無し。別れ話を切り出すはずが情にほだされて結局その男についていく…、っていう展開も、レオンファンなら『ラブソング』を思い出さずにはいられないし、スー・チー演じるジョーイとの会話の中には『玻璃の城』で抗日学生運動に参加したことを彷彿させる台詞があるし。逆に言うと、そういうパロディーを見付けたり想像したりするのも楽しい。日本ロケでは、温泉にビール瓶を浮かべたらぬるくて不味いだろ〜！と突っ込みを入れたくなってしまった。
ジョーイに言い寄る日本人役の名前が台詞では「加世大周（加勢大周）」となっているのに、英語字幕だと「ケニー・沢田（沢田研二）」なのは何で？加勢大周は香港・台湾でけっこう売れているらしいので知名度がありそうだけど、英語圏の視聴者には知られてないから昔のスターの名前に変えたのかも。それにしても、何故香港映画に出てくる日本人って日本語の台詞まわしが堅いんだろう…？